♯14 スウェーデンの夏至祭

20年前 初めてスウェーデンを訪れ、夏至祭と音楽フェスに参加させて頂き、今もこのイベントの根幹になっています。

夏至祭を紹介する時、メイポール(夏至柱/マイストング)が象徴的なので、写真をよく使わせて頂きます。しかし、この柱を立てることからお祭りが始まりで最も重要な儀式で、当時「命の柱」と呼んでいました。その時にメイポールに感謝のキスをするシーンが忘れられません。

スウェーデンのことは、いつもスウェーデン大使館広報部 速水 望さんに教えて頂いています。幼少期と大学時代スウェーデンで過ごされ、文化、歴史、言語、スウェーデン人の心も...正に親善大使です。 夏至について、寄稿頂きましたのでご紹介させて頂きます。


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「スウェーデンの夏至祭」

暗くて寒い冬の先には美しい夏が待っていますが、夏至祭はスウェーデン人にとってとても大切なお祝いです。歴史的に見て、夏至は北ヨーロッパの初夏の繁殖と成長を祝うことに由来しています。農村社会では一年間の仕事の転換期を意味する一方で、夏至には魔法のような力が働き、超自然的な創造物があふれると言われていました。それゆえに治癒的な植物を集めたり、未来を占ったりするのに適していました。夏至の露に裸で寝転がると身体が強くなる、また夏至の夜に枕の下に7種か9種の花を置いて寝ると夢で将来の伴侶が現れるといった言い伝えもあります。

Credit : Anna Hållmans/imagebank.sweden.se

キリスト教受容前のヨーロッパでは、夏至の頃に祝祭が行われていましたが、聖ヨハネの誕生日とされる6月24日とこのお祝い事が結びつきました。ヨーロッパでは、聖ヨハネの日に野外で大きな焚火を焚いていましたがスウェーデンでも一時期、焚火を焚く習慣がありました。最も早い 記述の一つで、1555年に出版された『北方民族文化誌』の中で宗教家オラウス・マグヌスは、「聖ヨハネの前夜祭に…大勢の老若男女が町の広場や屋外で、至るところにつけられた焚火の明かりの周りで楽しそうに踊っていた」と描写しています。ちなみにそれよりも遥か以前の青銅器時代(紀元前約1700年から500年)にスウェーデンでは太陽崇拝が起こったと言われています。太陽を祝うために行われたと思われるダンスや儀式の一部が岩絵に刻まれています。ただ、一年のうち、いつこの宗教的な活動が行われたのかは分かっていません。


スウェーデンのお祝いにかかせない夏至柱(Midsommarstång)、あるいはマイストング(Majstång)と呼ばれるものはドイツのマイバウム(Maibaum)に由来すると言われています。ヨーロッパ大陸の国では5月1日に初夏を祝う習慣、夏の豊穣を予祝する祭りである五月祭がありドイツではマイバウムを飾ります。おそらく中世にマイバウムがスウェーデンに入ってきたと思われますが、寒い気候のため5月には葉も花も十分にはなかったので、もっと遅い時期に柱をたてることになりました。こうしてドイツのマイバウムはスウェーデンの夏至柱となったのです。マイストングのマイは5月ではなく、スウェーデン語の「葉で飾る」ことを意味する動詞マイヤ(maja)からきています。

一説によると、夏至柱は当時の学生やお金や食べ物を乞いながら「5月を歌った」作男によって使われていたものでした。夏至柱の形ですが、いろいろな形を経て1800年代に、現在一般的になっている十字架に二つの輪がぶら下がっているものになったと言われています。しかし、今でも地方ごとに 、例えば柱の周りにいくつかの大きな輪が施されているといった様々なバリエーションがあります。夏至祭では老若男女、しばしば子どもや女性は草花でつくった冠をかぶり、夏至柱の周りに輪を描きよく知られたの歌や童謡を歌いながら踊ります。


この伝統は1900年代に大きく成長した一つの要素でもあります。Små grodorna『小さなカエルたち』は定番ですが、1920年代の歌の本に初めて現れてからこのメロディーはまたたくまに人気となりました。ちなみにこの歌は1800年代のナポレオン戦争時代のフランスの歌に由来します。その歌の中に「フランスの兵士がライオンのような強い身体になるには玉ねぎを食べるべき」というリフレインの部分があり、それをイギリスの兵士がフランス人を揶揄するために「カエルを食べるべき」と歌詞を変えたのですが、それがどうやってスウェーデンに伝わったのかは未だに謎です。


夏至のテーブルには酢漬けのニシンやしばしばディルと一緒に茹でられた新ジャガが並び、デザートにイチゴを食べます。多くの人は食事に合わせてスナップスを飲みます。テラスや庭で食事をすることが多いのですが、夏至は天候が不安定であることが多く、食事をしていても突然の雨に襲われ家の中に入り、また日差しが戻り外に出る、というのを繰り返すこともよくあります。一年のほとんどが暗くて寒いスウェーデン人にとって夏の日の屋外での食事はとても意味深いものなのです。


夏至祭はスウェーデンではクリスマスに次ぐ祝祭です。1900年代の工業化社会において夏至が夏季休暇の始まりと重なったことも、この祝祭の人気を高めました。クリススマスが家族と過ごすのが一般的であるのに対して夏至はより広い交友関係にある人たちとお祝いします。スウェーデンでは1952年までは6月23日が夏至前夜と固定していましたが、翌年から移動祝日となり、現在では6月20日~26日の間のいずれかの日になります。夏至当日の教会の祝祭としての本来の機能は今ではほぼ存在していません。夏至の当日よりも前日の方が盛大にお祝いされるのも北欧の特徴の一つのようです。聖ヨハネの誕生日、ヨーロッパ大陸の5月祭、マイバウム、小さなカエルの歌、イチゴ…といった様々な要素が入り現在のお祝いのスタイルに至ったようです。現地の夏至祭をまだご覧になったことがない方はどうぞお出かけ下さい。とても国民性あふれるユニークなスウェーデンをお楽しみ頂けると思います。


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速水さんから教えて頂いた、スウェーデンの夏至を紹介する動画

▷▷ こちら


スタッフ個人的にお気に入りの Små grodorna『小さなカエルたち』映像です。


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