#38「森の人になりたかった」

先日3/27まで京都の堀川新文化ビルヂング全館に渡って、繊維造形作家・堤加奈恵さんの作品が展示され大好評のうちに終了致しました。

堤さんは2018-2019年フィンランドに滞在し、東カレリア地方、北部のイナリエリアなど各地を訪れ、自然から大きな影響を受けて作品制作を取り組まれている作家です。


テキスタイルの展覧会で、「森の人になりたかった」というタイトルはとても印象的でした。優しい色と風合いのある作品が、主タイトルである「Pretend play always touches my inner part」と結びついて、自然と内面と向き合って産まれる作品のことが知りたくなり、お電話でのインタビューをお願いしました。


堤加奈恵さんは、1986年京都市生まれ。2011年に京都精華大学大学院を修了後の7年間、綴織によるタペストリー制作を取り組まれてます。2018年~19年のフィンランド滞在を機に、日本で生まれ育った自らのルーツに興味を抱き、以後、作品には座布団から着想を得たものや、ススキを素材に組み込んだものなど、身近な素材や日本の染織工芸品などを取り上げながら、自身で織った布を造形作品として発表されています。

フィンランドから帰国後、作品の取組に変化があり、不要となった植物から色を取り出して染めた《等閑のスケール》や、山や苔などにインスピレーションを受けた作品、堤さんの内的な感性やイメージを糸と布、そのフォルムに投影した作品、多様で複雑な苔をモチーフとした《moss》など印象的な作品を発表されています。


サブタイトルの「森の人になりたかった」は、丹波に住む大好きなおばあちゃんにルーツにあります。農作業をしている傍で土を触る幸せな時間、大切な記憶として残っているそうです。農作物を巡って猿や猪と知恵比べをしていてたおばあちゃん。自然の中で恵みに感謝し、戦い、生きていく人に心底憧れ、またフィンランドで森と共に生きる人や、トナカイと暮らす先住民族サーミの暮らしへの憧れがこのタイトルに繋がっています。


堤さんご自身は虫が触れない、植物を枯らす、生き物にナイフも入れられない方だそうですが、自然と関わりたいと常に思っていて、土遊び、草遊びの延長線上に純粋は探求心がある様に感じました。


森の中に入った時に現実と世界が変わる..。

堤さんの作品にも現世から解き放たせてくれる力があります。

私たち音楽を制作する者にとっても、最終到達点の様な目標でもあります。


近い将来、堤さんの作品と音楽で、皆さんを味わった事がない世界にお連れする機会を作って参りたいと計画していますので、その時は是非足をお運びください。



参考資料: 森の人になりたかった 会場配布資料

 

Profile

堤 加奈恵 Tsutsumi Kanae

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1986 京都市生まれ

2009 京都精華大学 芸術学部 デザイン学科 テキスタイル分野 卒業

2011 京都精華大学 大学院 芸術研究科 染織領域 修了


<近年のおもな展覧会>

2020 「ラプソディー」京都芸術センター支援事業(GALLERY GALLERY / 京都)

 -  テキスタイルの未来形(宝塚芸術文化センター / 兵庫)

2019 HIKARI NO KEHAI(LOKAL + ギャラリー / ヘルシンキ、フィンランド)

2018 「Weaving New Worlds:Contemporary Tapestry」(ウィリアムモリスギャラ

リー / ロンドン、イギリス)

2017 Forest of Gretel(同時代ギャラリー / 京都)

2016 新鋭選抜展 琳派400年記念展(京都文化博物館 / 京都)

2015 なまえのない色(GALLERY GALLERY EX / 京都)

2014 「ori-rhytm3」(京都芸術センター / 京都)

2013 「TAPESTRY NOVA」(Meno Park / カウナス、リトアニア)

 -  moss work(GALLERY GALLERY EX / 京都)